いつの間にかバケツを離れ、カイの頭に乗っている隊長が、ボソッと呟いた。



「美幸さん、本当は素敵なイモリなんだ。彼女が地味な引きこもりになったのは、彼氏の不幸な事故がきっかけだし、あの全身タイツだって……」

思わずカイが問いかける

「隊長殿、その全身タイツなる物とは?」




「カイ、彼女のあの姿(真っ黒で小さなオレンジ色の水玉)は偽装なのだ。全身タイツを取った彼女は、金色に若い赤葡萄酒のような水玉の、豪華さ漂うイモリなんだよ。」


「人を見た目だけで判断してはいけないということですな?」

「うむ…」





二人の会話をそばで聞き頷きながら涙ぐんで、カイのしっぽの上の右足に力を込めるリンであった。




もどかしさ×2
少しづつプルプルしているカイです……