=凪=

一方、ヒロ少年はというと………


残念ながら、頼めそうな大人を、探せないでいた。


『あいつに、名取に、何かあったらどうしよう。俺がなんとかしないと』


『俺は男だから、女のあいつを守らないと……』



焦る気持ちが、なお周りを見えなくしていた。



さっきまで、高い位置にあったお陽様が、だんだん傾きかけて、辺りを変えていく。



しばらくしてヒロ少年は、また穴の上に帰ってきていた。


「ごめん。誰も居なかった……」


穴の上でうなだれる少年に、少女は覚悟を決めたようにこう言った。


「ヒロ君!私、頑張るから手を貸して!!」