=凪=

その頃、名取少女は、暗い穴の中で、不安な時間を過ごしていた。


『あーん、なんで板になんか乗っちゃったんだろ』



『このまま、ここから出られなかったら私は、どうなっちゃうんだろ』



『助けて……ここから出たい』



青空から段々とオレンジに変わりそうな、天を仰いだ。


そして、どうしたらこのピンチを、脱する事が出来るのかを考えた。


『大丈夫。ヒロ君がなんとかしてくれるよ』


結論が出ぬまま、心にそう言い聞かせ、泣き出しそうな気持ちを励ましていた。


そして、ヒロ少年の帰りを待っていた。