=凪=

「俺、こうみえても男だぞ!」


ヒロ少年は、力の限りに答えた。



見上げると、たくましい男の子……、いや男の顔がそこにあった。


小さな私は、腕を伸ばし、少年の手をしっかりと握った。



しかし、その言葉も虚しく、足が土に滑り、なかなか上に戻ることは難しかった。



二人は、泣きそうになった。



「ねぇ、誰か大人の人を呼んでこようよ……」



少し間が開いた後、わかったと言い残し、ヒロ少年はその場を離れていった。



『俺が助けなきゃ!』

ヒロ少年は、薮を抜け表通りに飛び出した。