=凪=

誰が、何のために空けたのかは、わからない。


でも、自分があと3人は入れそうな穴だと、小さな私は思った。



ほら、と言われ、手を伸ばすと、なんとかヒロ少年の手を掴む事ができた。


「俺が、引っ張るからな。上がってこいよ。出来るか?」



「う………ん、でもぉ……」



「なんだよ、名取にしては弱気だな……」



「私……オモいし」



小さな私は、更に小さい声で、自分の身体を気にしていた。



「はぁ〜?聞こえねぇよ〜。ほら、手を伸ばせ!!」



「重いから!!」


せかすその声に、思わず、大声になった。