=凪=

「よし!下見に行こうぜ!!」


そう言ったか言わないかのうちに、男の子は駆け出していた。


「ちょ、ちょっと待ってよ!」


小さな私は、置いていかれないよう、急いで走りだした。



ランドセルの中身が揺れる。


一緒に心も踊る。



段々と、足を上げるスピードが速まる。



『ワクワクする。何が待っているんだろ?』


全身で、風を感じながら、めいいっぱいの力を出して走った。



途中で、何人かの友達に、声をかけられたけど、「またね」と答えるのが精一杯だった。