=凪=

「すごいよなぁ〜」


「えっ?」


突然の声に、頭ひとつぶんは大きい尾沼の横顔を見上げた。


「空ってさぁ、こんなに高くて大きいんだな…」


子供のように、目を輝かせている尾沼さんを見て、どこか心が温かくなる。



パン!パパン!!!



終わりを知らせる合図とともに、アナウンスが流れた。


綺麗に飾られた空に、白黒の煙りが残る。


その役目を終えた煙りは、高い空に吹く風に身を任せ、ユラユラと遠くへと流れていった。


地上では、もう人もまばらなその場所で、私は茫然とその情景を見あげていた。