=凪=

始まるまで、ずっとおしゃべりをしていた尾沼さんだが、そんな夢中な私を気遣ってくれて黙ってくれていた。


時折、人とぶつからないようにしてくれているのが、ちょっとテレくさかった。


そして、こんな風に誰と花火を見るのは初めてで、自分の気持ちが解らなくなっていた。


この轟音の中で、大切な男性(ヒト)と一緒に過ごすのは夢だった。



……でも、隣にいるこの男性で、本当によかったのだろうか。


不安な気持ち……


この花火の音と共に、この心を、浄化できるといいのに……