=凪=

待ち合わせ場所には尾沼さんが、先に来ていた。


そして私を見つけると、満面の笑みで迎えてくれた。


初めて会った時もそうだったが、尾沼さんはよく話し掛けてくれた。


私は、それに曖昧に返事をしていた。


心の中は、今日はどんな花火が打ち上がるのか、ワクワク感で溢れていたのだ。


パン!パンパンパン!!!


軽快に、大会を知らせる報弾が、小さく弾ける。


1時間半の空のアート。


夜空を飾る火花に夢を見よう……


「「「「「ワァー♪」」」」」


一発目のスターマインに歓声が上がる。


私はなにもかもを忘れ、夢中になって空を見上げた。