=凪=

花火大会当日まで、私は二人きりで大丈夫だろうかと、とても不安な日々を送った。


でも、二人で行きたくない反面、子供の頃から大好きな花火に、ワクワクしている自分がいる。


あの、夜の静寂(シジマ)を裂き、響き渡る音。


暗闇を引き裂く大輪の光りの花。


それにコダマする人々の歓声。


目を閉じると、瞼の裏に広がる、あの壮大さ。


普段は喧騒を嫌い、人込みになど出かけたくない。


だけど、花火だけは特別なのかもしれない…


そして期待と不安の中、その日を迎えた………