=凪=

「尾沼さん、日常商事の秋場さんからお電話です。」


仕事が入り、僕の思考はそこで止まった。



……忙しい毎日。



きっと、彼女もそうに違いない。



昼間、仕事をして、夜も仲間と遊ぶ暇もなく残業。



返事を期待していた数日間は、そんな合間をぬっては、メールを待っていた。


『ナギは、奥手だから、今までの女の子のようには、いかないわよ』


幼なじみの、菜津子の言葉だけが、かろうじて彼女との接点だった。