「フーゥ」 仕事が終わり、両手をあげ、伸びをしたのは青空が茜色に染まる頃だった。 「お疲れ!ありがとね。助かったよ」 菜津子は出来たての書類を持って自分の席に戻って行った。 「今度おごれよ♪」 そう言うと、その背中は軽く手を上げ、はーい!と答えた。 仕事を一段落した安心からかオフィスから視線を外した。 私は強い娘になってますか? 多分、あの人がどこかで見てくれているであろう都会の狭い空に、疑問を投げ掛けた。