=凪=

「……何を、今更……」


やっと喉を、伝って出て来た言葉は、父を否定するものだった。


一瞬、父は目を大きく開き私を見た。


そして、静かに下を向いた。


「そうだな……今更だな」


「でもな静樹、苦手な事を克服する事を出来れば、人間が大きくなれる。そう思うんだ。だからお父さんは、お前と、話しをしようと思ったんだ。お前の親として、しっかり静樹を知ろうとおもったんだよ……」


そして父は、いつでも戻ってこいよ。と微笑んだ。


私は、涙をこらえるのに唇を強くかみ締め、下を向き、目線を泳がせていた。