=凪=

『だから、お前は成長しないんだよ』


ふと耳元で、誰かにそう言われたような気がした。


後ろを振り返るが、誰もいない…


「名取君、大丈夫か?」


課長の声に我に帰る。

「あっ、はい……」


「しっかりしてくれよ」


そう言い、課長はその場を離れた。



『空耳かぁ……』



頭を下げ、一人になると再び、青空に目を向けた。


空には、白い雲がひとつ浮かんでいた…



それが段々と、誰かの顔に変わっていく。



『お・・・・お父さん……』