=凪=

「そうなんです……」


クルミは、淡々と話し出した。



「あの日、柳崎さんは、私を見つけた時にすごく嬉しそうにしてたんです」



「でも………」




「ん?あいつ、何かやらかした?」



陸は続きを待ったが、なかなか話しが進まず、質問を続けた。



「まさか……あいつが女の子に恥をかかせるようなこと、してないよな?」



下を向いて、黙ってしまったクルミの顔を、陸が心配そうに覗き込む。



その隣では、菜津子がもうだめ………と、ばかりにクッションを抱えて倒れ込んでいた。