=凪=

「長かったね。お疲れ様」



クルミが、デスクに戻ると、ナギが心配そうに声をかけてきた。



「うん。ちょっとね…」



伏し目がちに、でも、暗くならないように、そう答えた。



『変なクルミ……』



ぎこちない態度を不審に思いながら、小首を傾げ、ナギは自分の仕事へと意識を戻した。



『素直なあなたがうらやましいよ……ナギ……』



お互いの苦しさなんて気がつかないまま、クルミは、ナギの背中を見つめた。



『でも……このままじゃ、いけない。ダメだよね』



二人とも、そう考えずにはいられなかった。