=凪=

「……クルミ?」



今にも泣き出しそうな、クルミが心配になり、声をかけた。



「今夜……」



聞き取れない程の、小さな低い声で、クルミが話し出す。



「えっ?」



聞き返す、菜津子の目を見て、はっきりした言葉で、こう告げた。


「今夜、空けてくれる?」



「………。」



「ぜん、全部話すから……」



下唇を噛み、そっと菜津子の手を退けたクルミは、静かに給湯室を出て行った。



「くるみ……」



給湯室に残された菜津子は、いつもと違う親友の態度に、戸惑いを隠せずにいた。