=凪=

『あの日は………あれでよかったんだよね』


『ナギは、何も言ってはくれないけど……』



不安の影が、心に広がる。



「そぅ?とにかく、助かったよ。菜津子のおかげだよ。さすがリーダー♪」



ぐちゃぐちゃな心を、気付かれないように。



そう、なるべく平静を装って、その場を離れようとしたその時だった。



こらっ!と、菜津子がクルミの腕を取った。


一瞬の出来事に、戸惑うクルミ。



「いつまでも、一人で抱えてんじゃないわよ」



なんの為の私なのよと、菜津子は失笑していた。