=凪=

ここは都内にある会社の給湯室。


OL達が、上司の目を盗み仕事の合間の僅かな休息を楽しむ場所。


その小さな空間から、声が聞こえる。


「クルミ、最近付き合い悪いよ。何かあった?」


クルミは、困ったようにお茶を入れている手を止め、笑いながら目を伏せた。



「意味深だなぁ。新しい男でも出来たぁ?」


同僚の問い掛けに答え出ない。



ただ笑いながら、お茶受けを用意するクルミの耳に天の声が聞こえた。



「あら?いつまで、油を売ってるのかしら?部長がお茶を待ってるわよ」



答えがなく、困っていたクルミは、その声で開放された。