=凪=

手には、小さな紙包。


『………先輩の手、冷たかった…』



多分、長い時間、外にいたのだろう。



『………先輩』



『なんでこんなことになっちゃうんだろ?

胸が痛い。

色々な人の気持ちが置き去りだよ。


もちろん私も……』



でも……



『でも、やっぱり先輩が好き』



チクンと心に刺さったトゲと、春の風が少し痛い夜だった。




第12章『… 痛 み …』おわり