=凪=

帰り道にある公園で、ふと見上げた空に淡いピンクの雪が舞う。



「あっ、桜……」



花びらを取ろうと、手を差し出したその時・・・・



「名取?」



聞き慣れた声が、後ろから聞こえる。



「お前さん、熱でダウンしてたんじゃないのか?」



「せ、………先輩」


「ダメだぞ。レン君が心配して行ってくれたんだろ?また、ぶり返したらどうするんだ?」



何故か、『レン君』を強調していた。



『なによ…人の気も知らないで。こんなとこに、ひょっこり現れないでよ……』


ドキマギする心臓に『落ち着け』と懸命に司令を送る。