=凪=

荷物を渡した尾沼さんがスーツ姿で、営業の外回り中だと気がついた。



「お仕事の途中なんじゃないですか?」



少し潤んだ瞳で、頭ひとつ分高い尾沼さんを見上げた。



すると上司にばれたら怒られちゃうかな…と笑った。



「じゃ、僕は仕事に戻ります。ごめんね、突然来ちゃって……」



少し、間を置いて続けた。



「昨日メールの返事がなかったから、不安だったんだよ。それにメールや電話より、ナギちゃんの顔が見たくてさ……」



そう一気に言って、尾沼さんはお大事にとお辞儀して帰って行った。