=凪=

『多分、あの時からずっと気になってた…知らないふりしてた自分がいたんだ。私、先輩が好き…』



やっと気持ちが晴れたのを、あざらうかのように黒い雲がお月様を隠していく。



まるで、この先を暗示しているかのようだ……



「お月様は、私の恋を応援してくれないの?」



答えなどない空に、問い掛けた。



『そうだよね……クルミを裏切ることは出来なよね』



「それに、尾沼さんも…………」


声に出した。



『だから、この想いはしまっておかないと……』



一点を見つめたまま動けず、時間だけが過ぎていった。