=凪=

都会のライトに照らされて、星なんか見えない夜空。



そこにお月様だけは白くぽっかり浮かんでいた。



「あ〜〜〜ぁ」



私は、声に出して溜め息をついた。



メールの返事も忘れたまま、ブランコの柄をしっかりと持ち、勢いよく動かした。



足を延ばして縮めて…


子供の頃から大好きなブランコを、キシキシと音をたてながら動かす。



『飛んでけ、飛んでけ!』



夢中で漕いで、ゆっくりと足を止めた。



「わたし……やっぱり好き…」



そう、そっと声に出した。