=凪=

賑やかだった居酒屋の一角に、しばし沈黙が続いた。



「そろそろ帰ろうか」


菜津子の一言に、我に返り店を出ることにした。



クルミは、自分が送るからと菜津子に言われ、私は一人で帰ることになった。



賑やかな街の雑踏の中でも、暗く寂しい夜の道のように感じた。



そしてそれが、どこまでも続いているようで怖かった。



♪♪♪


歩いているとメールが鳴る。


相手は尾沼さんだ。


さらっと見ると、他愛もない挨拶程度の短い文だった。



その時、頭の片隅に誰かの横顔がよぎった。