=凪=

とても鋭い意見だった。



なんて答えてよいのか解らない私は、手の中にある呑めもしないお酒を飲み干した。



いつもなら、たった一杯でも酔えるのに、今日はやけにはっきりとした意識がある。



そして、菜津子の言葉を噛み締めていた。


『私はただ誘われるままに会っていたのかも……』



その時の、尾沼さんの気持ちを考えると胸が痛くなる。


そして、ふらふらしている自分とは違い、真剣に先輩を想うクルミ。


私は、いったい何人の気持ちを、踏みにじったらいいのだろうか………



苦しさが、身体中を締め付ける。