=凪=

「ま、まぁね………」


そう、あっさり答えたつもりが、目は確実に泳いでいた。



「それで、蓮とはどうなのよ?この際だから、蓮ときちんと付き合っちゃいなよ」



いい男よと、菜津子は笑った。



『人の気持ちなんて、物を売り買いするみたく、簡単に移動することが出来るのだろうか……』



今の自分の気持ちが、どこにあるのかも解らずに下を向いた。



「まぁ、ナギ次第だよ。何かあったら、ちゃんと言いなさいね」



肩に置かれた手が熱い。


「……うん」



そう頷き、菜津子を見た。


「さ、仕事。頑張ろう」


私達は、午後の仕事に戻った。