暫く立ち尽くしたまま海を見つめる。

暗闇の海にはただ波の音だけが鳴り響く。


その音になんだか虚しくなって、無理して履いてきた少しヒールの高いサンダルを脱ぎ海に向かって思いきり投げた。




『いってぇ~~』


何処からともなく聞こえて来た声に私はびくっとして海の方を見た。



じっと見ていると、私に向かっている人影が見えてくる。



『これ…君の…?』


私の投げたサンダルをブラブラさせながら近づいてくるその人影を見て私はただ頷く事しか出来なかった。