背を向け去っていくナオトが初めてヴァネッサ中佐と呼んだ。 だが、エイダには嬉しさを少しも感じられず、何の感情も湧いてこなかった。 どうやら、己でも気がつかない内にナオトの存在が大きくなっていたようだ。 「…ナオトの為なんだ。許してくれ…」 未だ昼間だと言うのに、窓からうっすらと見える月に思いを告げる。 月は儚げで、何故だかエイダの心を締め付けた。