魔術師が部屋から去っても、ナオトは動けずにいた。


「…ふざけんな」


憎い。自分が悪者になってまで俺を帰そうとするエイダが。

悔しい。エイダの真っ直ぐな優しさに気が付かなかった自分が。

寂しい。別れの言葉さえ無く、俺を送り出そうとするエイダが。

悲しい。自分の居るべき場所ではないと分かっていながら、求めてしまう自分が。


答えなど最初から分かりきっている。
魔術師は自分で決めろと言った。それなら、もう迷う必要など無い。


決めるなりナオトは全力疾走で部屋を後にした。