決算業務の並はずれた忙しさに、向こうでの新生活の準備なども相俟って。



先月からの美紀さんは、お世辞にも“ビューティー・デイ”は作れなかったと思う。



だけどそんな疲れよりも、幸せの方が遥かに勝って輝いていたけどね?



コンパに明け暮れてた時なんて、もう比べモノにならないくらい・・・




「はぁー、何かあっという間だったわね。

決算も無事終わったし、思い残すことはないわ」


ふぅ…と、挨拶を終えて一息ついた彼女が経理部を一瞥しながら呟いた。




「これが毎年エンドレスなんですよねぇ」


「決算が終わると、何か気が抜けるよねぇ」


涼子が自嘲気味に零したので、続いて私も本音を語ってしまうと…。




「鈴ちゃん…、アンタはいつも気がユルユルなのよ…!

総勘定科目の勉強…、ちゃんとしなさい」


「確かに・・・」


最後までお局様の片鱗を見せつける美紀さんに、加えて同調した涼子。



「はーい…、頑張ります…」


そんな彼女をズルイと思いながらも、ご尤もな言葉に肩を竦めて頷けば。




「女に二言はないからね?」


「ハハ・・・」


女に二言はナイけど…、美紀さんの脅しの恐怖は半端ナイわ…。