何で怒られながらに、“ありがとう”なの――…?



そんな私の反応が手に取るように分かるのか、クスッと笑った美紀さん。




「アイツ…、朋樹と昨日話せてスッキリ出来たから。

多分、課長…ほら、稲葉さんから聞いたと思うけど・・・

稲葉さんの前任の課長が最低なヤツでさ、色々と邪魔されてね?

何も変わらないようにって…関係を内緒にしたせいで、結局はソレが仇になって…。

知られた相手がマズかったのよね…、よりにもよって――」


「美紀さん、あの…」


その“話の続き”も聞いていたからこそ、話を止めようとしたのに。



フルフルと頭を振った彼女は逆に、私の制止を拒否してしまう。




「いいのよ…全部が事実なんだし、話したいから・・・

アノ日は本当に、たまたま私と朋樹の2人が残業になっちゃってね。

私たちが悪いんだけど…、ついつい遊び半分にキスしてたのよ。

だって誰もいない職場って、スリリングじゃない…?」


「っ、はい・・・」


「あー、イケナイ事はしっかりしてんのねぇ」


「っ、その、まぁ…」


急に話を振られてしまい、素直に答える私は大バカ者だと思うけど。



素直な事だけが取り柄なんだし、これはもう仕方ないよね…?