ツー・ツー…と、ひたすらに耳元で響いている通話終了音。



その音はあまりに無機質でいて、やけに孤独感を募らせてしまうから。



今の弱った私から、出社の気力を失せさせる効力は絶大だよ――…




何を言われるのか、何を用意しているのか、何が目的なのか…。



アノ人の考えている事が、まったく分かんないけど。



間違いなく、輝に迷惑が掛かる予感だけはするの・・・



チェストの上やベッドのサイドテーブルとか、至る所に置いた写真を見ると。



デートの先々で撮った写真に映る笑顔の自分に、ギューッと心が痛んでいく。



この笑顔が大好きで、意地悪なところも大好きで、全部大好きだから…。




「…行かなきゃ」


ベッドから重すぎる身体を起こすと、そのまま仕事カバンを手にした。



そうして再び、鍵穴へとキーを差し込んで静かなアパートを出て行く。




やっと手に入った幸せは、自分の手で守り抜かなきゃダメだもん・・・