もし経理部へ電話すれば、かなりの高確率で輝が電話に出るだろうし。
ズルイと分かってても、ニュートラルな涼子に頼ってしまったのだ。
「えー、何やってんのよ…。
ていうか、今日の課長すごい不機嫌だけど」
「っ、ごめん…」
ハァ…と、溜め息ひとつを落とした涼子に、ただ謝罪しか出来ずにいれば。
「…分かったから、早く来なさいよ?
“ソレ”を仕事に挟むのは、私はあんまり好きじゃないし…。
ていうか、落ち着いたら色々と吐かせるからね?」
「うん…、ありがと」
仕事をキッチリこなす彼女は、もちろん遅刻なんてあり得ないし。
私も不出来だからこそ、遅刻・早退はしないように気をつけていたのに…。
「まっ、ある意味で今日は見物かも。
あの鬼課長の不機嫌オーラに、皆ビクビクだもん…!
この場で理由を知るのは、私だけなんてねぇ」
「ははは…」
そう茶化してくれるのは、私の不安感を取り除こうとしてくれる優しさで。
やっぱり涼子が大好きだし、憧れだなぁと思えてしまった。

