気遣ってくれた涼子のお陰で、ようやく仕事に手をつけ始めた私。
頼まれていた仕事は、前回の部内ミーティングの議事録作成で。
課長が纏めてくれた記録を、ただひたすら入力するだけのモノだ。
「斉藤さん、議事録は出来たか?」
「え、か、課長…、すみません!
もう少しで完成です…」
オリエンタルの香りを纏った課長が、いつしか会議から戻って来ていて。
それどころか、既に通常業務を高速で再開させているようだ。
「そうか、今日中に目を通したいから頼むよ?
それと…、ついでにコッチの確認も頼む――」
ズシッと重いソレを、こちらにスッと差し出してくる。

