あのあと落ち着いたら戻ると言われて、美紀さんを残して経理部に戻った私。
彼女が自分を責めるワケも、渡辺さんとの関係も聞けず仕舞いで。
消化不良な気持ちが渦を巻いて、とても仕事が手につかない。
仕事が出来ナイというのとは、これまた別問題だ・・・
すると涼子が椅子ごと近づいてきて、耳元でコッソリ話し掛けてくる。
「ねぇ、美紀さんと何があったの?
美紀さんの顔、いかにも泣いてました的だし…」
「うっ、わ、私とは…何もナイんだけどぉ…。
ちょっと色々とあってね…」
明らかにうろたえつつ、口を濁してしまう不器用な私。
出来るなら、仲良しの涼子に相談したいんだけど。
何も知らない第三者の私が、事情も知らずに相談してはダメだし。
「ふーん…、解決したら教えなさいよ?」
「うん、ごめん…」
すぐに察してくれたのか、そのままチェアを翻して席に戻っていく。
こういう気の回るところは、やっぱり賢い涼子らしい。

