サーバーから淹れたコーヒーの香りが満ちる、重苦しい空気の給湯室内。
此処は経理部から離れているし、さっきの声は漏れてないと思うけど。
美紀さんの一言は尤もすぎて、ショックを隠し切れずに俯く私…。
関係無いクセに、こうして介入したのが悪いのに・・・
「…鈴ちゃん、怒鳴ってゴメンね…」
「…いえ、私こそ、すみません…」
すると彼女から謝罪を受けて、そのまま頭を下げてお詫びをすると。
「ていうか…、課長にも迷惑かけたのに、あんな事言って最低だよね…。
ねぇ鈴ちゃん…、何を言えば良いと思う…?」
「・・・え?」
重ねられた問い掛けで瞬時に体勢を戻して、美紀さんと再び対峙した。
迷惑を掛けたって…、輝も何か関係してるの――?
そう尋ねようにも泣きそうなほど、悲しみの色を滲ませていて。
私から何かを聞く事が出来ず、室内はシンと静まり返ってしまった…。
「…私ね…っ、朋樹の未来を…潰したの――」
突然紡がれた言葉と零れ落ちる涙が、過去へと誘うモノへと化して…――