“俺がした事は、美紀を苦しませただけだった…”
会議の時間も迫っていた為、渡辺さんから聞けたのはこの一言。
言葉足らずすぎて、理解力の乏しい私には到底分からないけど。
お互いに苦しんでいるからこそ、話をすべきだと思ったの・・・
「・・・朋樹のコトでしょ?
さっきから言いたいのって…」
すると幾許かの間(ま)を置いて、ポツリと口を開いた彼女。
こちらを捉えているのに、どこか私を通して“何か”を見ている気がして。
苦しさを滲ませる美紀さんの表情で、琴線に触れた気がした・・・
「…そうです、渡辺さんが言ってみえました。
美紀さんと2人で、話をしたいって・・・」
渡辺さんの表情を思い出しつつ、そう付け足したのだけど。
「貴方には関係無いじゃない、放っておいてよ!」
今までに見た事もない険しい顔つきで、叫ぶように遮られて。
「ッ、ゴメンなさい――」
仕事でいつもミスを仕出かす私は、クセから反射的に謝ってしまった。