空気の色の変化も…、渡辺さんが尋ねている本意も…。



おバカな私でさえ、何となく意味が分かっていたの・・・




すると輝がフッと一笑して、固い表情の渡辺さんをジッと見据えた。



「…俺なら、本能のままに動く。

欲しいモノは是が非でも手に入れて、絶対に守り抜くけど…？」


「・・・っ」


チラリと、一瞬だけこちらへ向けてくれた瞳にドキリとして。



少しだけ緩み続ける口元が、“オマエの事だ”と告げている気がしたの…。




TPOなんてモノを、今すぐにでもすり抜けられるのなら。



このまま、ギュッとオリエンタルな香りに抱きつきたいよ・・・





「ハッ…、オマエも変わったな！」


そんな私を尻目に、先ほどイヤほど聞かされたククッと響く笑い声。



「ま…、手の掛かる“猫”だしなぁ」


「・・・っ！」


輝の聞き捨てならない発言に、思わず立場を忘れてキッとひと睨みすれば。



涼しげな瞳に隠されたアマイ表情を返され、私はまたドキっとしただけ…。




「俺も…いい加減、アイツに意地張るの止めるわ…」



そんな中で発せられた言葉が、新たな始まりを告げていたね・・・