ああ…、どうしてこんなにドジなのよぉ・・・
百万馬力のパワーも、勢い余ってエンストしたとか…?
美紀さんに“粗相をするな”って、言われたばかりなのに。
会議室へ到着する前に惨事を起こすなんて、あり得ない…――
「大丈夫か?」
「え…、あ、すみません!」
テンパりながら資料を掻き集めていれば、視界がネクタイを捉えて。
そのまま顔を上げれば、爽やかな男性の姿を捉えて眼が合った。
「そのまま進むと壁にぶつかりそうで、思わず声を掛けたんだが…。
むしろ悪かったな、俺のせいで…」
バツが悪そうな彼の指差す方を見れば、あと1メートルで激突間際だったと分かり。
どこまでもドジすぎる自分に、ホトホト嫌気がさしてきた…。
「い、いえっ、ボーっとしていた私が悪いんです!
ありがとうございました!」
「ハハッ、そう言って貰えて助かった!」
ペコリと頭を下げてお礼を伝えると、ハハッと軽快に笑い始めた男性。

