ママが卒倒する勢いで叫んだ。

近所迷惑です。

が。


今はそんなこと気にしてられません!!!!


「萌え!?今コイツ萌えって言った!?」


あたしがフラつくママを支えながら言うと、洋介は頷いた。


「“萌え”っていいよね。うん。癒されるよね。うん。俺に妹が居てよかった。ね、うん。……灯莉」

「…なっなんでしょう……!?」

「“お兄ちゃん大好き”って言ってくれない?」






「いっぺん死んでこぉおお――いッッ!!!!!!」






本日二度目の蹴りが洋介にクリーンヒットした。




嗚呼…



誰かこのクソバカ変態野郎とあたしを他人にしてくれ!!!!


同じ名字なんて耐えられない!!!!

むしろ眼中にさえ置いておきたくない!!!!


瀕死状態の洋介をそのままに、あたしはママを連れてリビングへ逃げ込んだ。


他人他人他人他人他人他人他人他人!!!!!!


あんなのあたしのお兄ちゃんじゃない!!

どうしちゃったの!?

なんであんなことになっちゃってんの!?