あたしはワンワン泣き叫びながらくたばっているバカ兄貴を放ってリビングに駆け込んだ。


「ママぁああッッ!!!!お兄ちゃん…いや、もうアレはお兄ちゃんじゃない!!変態だ!!そう!変態が帰って来たぁああッッ!!!!」

「へっ変態ですって!!!?」


今日はパパがお仕事で居ないから、変態と聞いたママはよもや殺す勢いなのか後ろ手に包丁を持って震える足で玄関へ向かおうとした…




…から、慌てて止めた。




「違う!変態だけど変態じゃないんだよ!!」

「どっちなの!?」

「お兄ちゃんがオタク化して帰って来たんだよぉおおッッ!!!!」

「お……




……オタクですってぇええぇえ――ッッ!!!!!?」




ママは包丁を投げ捨てて(そして床に突き刺さった)、玄関へ猛ダッシュ。

そこに居たのは、くたばった状態のお兄ちゃんという名の変態。


もうコイツのことは洋介と呼び捨てにしてやろうと思う。

他人ということにしてやりたい…



「まあ!洋介!そのお人形さんの山は一体なんなの!?」

「……あ…か…母さん…それはお人形じゃなくてフィギュアだよ…」

「フィ……!?」

「萌えるよね」




「い…………





……いやぁああぁああ――ッッ!!!!!!」