腕立ても腹筋もまったくダメ。

それを見かねたスタッフの男性が、


『君はこの20年間何をしてきたんだ!!俺様がこれから鍛え直してやる!!着いてくるがいい!!』


って言ったから、洋介は毎週ここに通うことになった。


…ってか、“俺様”かよ。


何様だよ。








……俺様か(ふっ)。






「よかったじゃん、洋介!!これからバシバシ鍛えてもらえるよ~!?これで根本的な性格も変わってくると思うね!!」

「…………。」

「どうしたの?」

「……が…」

「え?」




「主(ぬし)のせいでフィギュアが買えなかったではないかぁああ――ッッ!!!!」



「キテ○ちゃん決定ッッ!!!!」




あたしはバッグに仕込んでいたガムテープをバシッと洋介の口に貼り付けた。



「もがっ…!?」

「さぁ次は洋服とバッグだ!!あの格好とリュックで出歩かれたら困る!!」