―ぎゅっと少し、抱きしめて



あたしはこう言った



「王族の人って、きっと寂しい想いをしてきたんだよね?」



あたしも、寂しかったもん。



王族と、お嬢様って境遇がだいぶ違うけど、


親に愛されなかった小さい頃は、どうしようもなく寂しかったから。



「クリス、お友達は?」


「いないヨ。みんなボクを利用しようとするカラ」




“利用”ね。



「じゃぁ、桜がクリスの友達になってあげる!!」


「え?」


「あたしも、寂しかったときあったよ。もちろん、クリスの全部がわかるわけじゃない。」


「……」


「でもね、悲しい思い出にいつまでもとらわれてたら、楽しい思い出が作れないよ」



「ウソだ!!」



「ウソじゃない。人生辛いこと、悲しいこと、いっぱいいーっぱい、あるけど。それでもあたし達が生きていけるのは、“楽しい”思い出があるからだよ。きっと…」