話し始めたのかと思ったけど大希はなかなか次の言葉を発しなかった。だからといって不思議と急かそうとも思わなかった。
ゆっくりと夕焼け空を眺めていて、日も長くなったなぁ、とか考えていた。
夕焼け空をゆっくりみたのはいつ振りだろう。
「たかにぃに憧れてさ」
何を言い出すのかと思えば、大希は突然そんなことを口にした。
「俺、バスケ好きだし、紗愛みたいに上手じゃないけどバスケずっとやってよ、って思ってた。けど、」
大希は言葉を切ると、ごろん、と寝そべった。
俺もならうようにねっころがる。芝生の匂いが、鼻をかすめた。
「たかにぃの走りみてさ、あんな風に走れたら、楽しいだろうなって思った」
あの日、2年前の夏、俺も見てたんだよ、たかにぃは気づいてなかったけど、と大希は付け加える。
「前から、大希はボールを追いかけるより、走ってる方が合ってるって紗愛に言われてたんだ」
けどさ、その言葉にムカついてさ。意地でもバスケやってやろう、って思った、とそう言うと、大希は笑った。
「あの頃、ヒロは紗愛に突っかかってばっかだったもんな」
と俺が言うと、それ言うなよ、と恥ずかしそうに大希は苦笑した。
