「走るの、気持ちいいよ」
そう、ポツリ上をむいたまま、そらはいった。
「むっちゃ、気持ちいい」
「そっか」
多分、それが、走る意味だと思うの。気持ちいいから走る。楽しいから走る。ただ単純に、ただそれだけで。
「やっぱ、俺、走るの、好きだ」
さっきのような、悔しそうな顔じゃない。何か、スッキリしたような、そんな顔。
「うん」
あたしは、ただ、頷いた。
「でも、」
「ん?」
「約束、守れんでごめんな」
「走るの、気持ちいいんでしょ?好きなんでしょ?」
「え…」
ビックリしたようなそらにお構い無く、あたしは続けた。
「ずっと、走るんでしょ?次は、見せて?」
ねぇ、そら。
走った後のとびっきりの笑顔を、見せてね。
