そらは、泣いてなかった。
唇を噛み締めて、ただ、悔しそうな顔をしていた。
「俺、また舜に負けた」
舜とは多分、4レーンの人なんだと思う。あたしは何もいえず、ただそらを見ていた。
「ちっくしょー!」
そらの言葉だけが響いた。
「ごめんな、ごめんな、紗愛」
俺、一番とるって約束したのにな、というそらにあたしは静かに首を横に振った。
何をいっていいかなんて、分からなかった。どう慰めていいなんて、分からなかったよ。
「去年も、こないだあった試合も、舜にまけた。もう俺、アイツに負けたくねぇよ」
「うん」
相づちしか打てないあたしを、許してください。何を言えばいいか、本当に分からなかったんだ。
