ザー……


トントン



台所で材料を切りながら昨日のことを何度も思い出す。



めんどくさそうに、無理やりあたしにヘルメットをつけた愛村は、


なぜか優しい瞳をしてて。


あのバイクに乗った記憶を、

愛村の背中のあたたかい記憶を思い出すと


恥ずかしくていてもたってもいられなくなる。



「あー!!もう!!!」



恥ずかしさを掻き消そうと頭をブンブン振るが、


もちろんそんなことはできない。




「なんなのよ……もうっ……」




胸が締め付けられるように、痛い。

だけどほんの少しだけその痛さが心地よかった。




「あたし、病気?……なわけないか」