すたこらと、男は逃げて、あたしと愛村が残る。 「……何よ」 本当は飛びつきたくなるほど、嬉しかった。 “好き”って言ってしまいたくなった。 だけどね。 「乗れよ」 「嫌よ」 「はぁ!?」 怖くなるの、いつだって。 恋をすると、臆病になる。 「…ったく」 「きゃっ!?」 愛村は無理やりヘルメットをあたしにかぶせた。