あの女にとって、

ナツやんが全てじゃない？


「…そんなに誰かを愛せるのに、それを凶器にするのはもったいないよ」


「………」


「…誰かにとらわれたままじゃ、誰も本当のあなたを見てくれない」


「………な…によ


「あなたが本当に笑うとき、あなたを必要とする人が現れるはずだよ。……きっと。あたしはそう信じてる」


そう言って、沙南ちんはナツやんに微笑んだ。



自分が本当に笑うとき、

自分を必要としてくれる人が現れる……。



玲ちゃんが、昔沙南ちんに教えてもらってたって言ってたな。




きっと、そうか。



ナツやんも沙南ちんといることで、本当に笑うことが出来て。


沙南ちんはいつも笑うナツやんを必要としてる。



お互いがいないと、ダメなくらい、お互いを好きなんだ。



「……ナツやん」

「…ん？」


ボソリと、つぶやいた。



好きだなんて、いくらでも軽く言える。


相手を選ばなければ、誰とだって付き合える。



今まで付き合ってきた中で、本当に"愛せた"人はいたのかなあ？


ただの言葉じゃなく、

自分の魂(こころ)で。



『俺さぁ……恥ずかしいこと言うけど、沙南と出会えて、付き合えてよかった』


「……俺も。」


沙南ちんと出会えてよかった。

そして………、


「玲ちゃんを…好きになって、よかった。」